2014年12月3日水曜日

グラウンド.ゼロを訪れて感じたこと


[NYへの旅] 24. 3月27日(水)その2
「サバイバー・ツリー=生還の木(マメナシの木)」が1本。サウス・プールの西側に枝を広げている。
1970年代に旧世界貿易センターの広場に植えられ、9.11後に、グラウンド・ゼロの瓦礫の中から焼け焦げた切り株となって発見された。ニューヨーク市の公園に移され、奇跡的に芽を吹き、新しい枝が伸び、花が咲くまでになった。ところが、2010年3月の暴風雨で根元から倒れてしまい、それでもしぶとく生き延びて、その年の12月にグラウンド・ゼロの敷地に戻された。
こうして、テロにも負けず、嵐にも倒れず、9・11事件の歴史を記憶する「生存と復活」のシンボルの木となった。

グラウンド・ゼロにあるサバイバー・ツリー以外の樹木は、「スワンプ・ホワイトオーク(ブナ科)」で、まだ若い。同時テロの標的になった3ヵ所(注)の攻撃地点から半径800キロメートル圏内にある苗床から選ばれて、グラウンド・ゼロの全施設が完成するまでに、400本以上が植えられる予定だという。

(注)攻撃の標的になった3カ所・・・①ニューヨークの世界貿易センターのツインタワー、②ヴァージニア州アーリントンにあるペンタゴン=国防総省本庁舎、③ペンシルバニア州のシャンクスヴィル

ニューヨークの新しい観光地となっているグラウンド・ゼロ。
刻々とタワーが崩壊し、粉塵を上げていたテレビ中継を、再び思い出した。
テレビに釘付けになったあの日。この世の現実ではないと思いたかったあの日。
テロから10年余の時間が過ぎ、ここを訪れる人々にさまざまな感慨をもたらす空間に変わっている。

ユニフォーム姿のボーイ・スカウトやガール・スカウト、あるいは在郷軍人のグループ。遠くの州からやってきた観光客の男女は、お揃いの真っ赤なジャンパーを着ている。中には星条旗を手にする人たちもいる。この日、団体が目立ったのは偶々だったのだろうか。世界中のさまざまな民族衣装を着た観光客も多い。

ここを訪れた人々は、男女を問わず、老いも若きも、なにかを感じているに違いない。9.11テロ事件を境にして、ブッシュのアメリカ政府は、イスラム勢力の中東地域への強行姿勢をあらわにした。未だに、空爆やテロの応酬が続き、混沌とした争いに解決はみえない。

グラウンド・ゼロの記念碑は犠牲者への追悼の気持ちをあらわす施設として建造されたが、確かにそうだけれど、土台には反アルカイダ、反イスラムの立場で、断固として闘うことを宣言しているのではないか。団体の観光客の姿を眺めながら、アメリカの世論の一端を垣間見た気がした。愛国心を高揚する観光地の出現だと、そんな深読みが必要ないことを思いながら・・・。
これから、世界はどうなって行くのだろうかという虚しさが、胸に残った。
「テロは許さない」と言う一方で、軍事的な動きが活発になっている。報復の連鎖がますますひどくなっている。

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